The Adventure of Charles Augustus Milverton 　　　チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン 　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　1　　 　　　 　　　　ピクウィック氏　　 　　　　 　　　　(参考文献　ストランド誌1896年1月号） チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン 顔付にはどこかあのピクウィック氏の人の好さを思わせるところがあったのだが、この腹に一物という感じの凍りついた微笑と、落ち着きがない刺すようなきつい目つきでそれも帳消しだった。 　　　 …………………………………………………………………………………………………………………… 　ホームズとワトスンはピクウィック氏に似ているミルヴァートンを嫌っていますが、そのピクウィック氏とは、ディケンズが「モーニング・クロニクル」の記者だった時に、チャップマン・アンド・ホールの依頼を受けて創作した『ピクウィック・クラブ』の主人公です。　この作品は1836年〜1837年に月間分冊で発表されました。当時貴族から庶民そして老若男女に愛読され、批評家からも絶賛を受け、ピクウィック氏は国民的アイドルとなりました。 　完結した頃には、ハブロット・ブラウン（筆名：フィズ）描く、丸い顔に丸い眼鏡をかけにこやかに微笑したピクウィック氏は英国のアイドル的存在となり、その後この挿絵は様々な版においても使用され、本文と分かち難く作品の一部となっているそうです。そのような英国のアイドル的存在に似ているが邪悪な心を持ち、その心が顔に現れているミルヴァートンをパジェットがどのように表現したかを見るためにピクウィック氏のイラストをミルヴァートンの横に載せてみました。 ……………………………………………………………………………………………………………………