六つのナポレオン 原題 The Adventure of the Six Napoleons 　(略はSIXN) 初出 ストランド・マガジン　1904年5月 イラスト シドニー・パジェット(7枚) 邦訳・初出 偶像破壊奇譚　今井信之訳 英語世界　1908年(明治41)2月〜1909年(明治42)12月 地名 ナポレオン胸像の製造・元売り ステプニー、チャーチ街　ゲルダー商会 小売店 ケニントン・ロード　モース・ハドソン店 ケンジントン、ハイ・ストリート　ハーディング・ブラザーズ商会 ナポレオン胸像破壊現場 第一現場、　ケニントン・ロード　モース・ハドソン店 第二現場、　ケニントン・ロード　バーニコット博士の住居兼本院　 第三現場、　ロウワー・ブリクストン・ロード　　バーニコット博士の分院 第四現場、　ケンジントン、ピット街131番　ホレス・ハーカー氏宅 (殺人事件） 第五現場、　チジック、ラバーナム・ヴェイル　ラバーナム・ロッジ ジョサイア・ブラウン氏宅(犯人逮捕） 六個目の持ち主 　レディング、ロウワー・グローグ・ロード　サンドフォード氏 ケンジントン、ハイ・ストリートのハーディング・ブラザーズ商店　から 　　　　　　　　　　　↓ 馬車で 流行のロンドン、ホテルのロンドン、劇場のロンドン、文学のロンドン 商業のロンドン、そして最後に海運のロンドンをすり抜けて 　　　　　　　　　　　↓ ステプニー、チャーチ街　ゲルダー商会　　へホームズとワトスンは着く。 事件内容 殺人、器物破壊、窃盗 主な登場人物 ホレス･ハーカー………セントラル･プレス通信の記者 ベッポ………イタリア人の彫刻職人 モース･ハドソン………モース･ハドソン商店の主人、ベッポを短期間雇っていた ゲルダー商会の支配人………ドイツ人、一年以上前ベッポを雇っていた ハーディング氏………ハーディング･ブラザーズ商会の支配人 サンドフォード氏………6つのナポレオン像の最後の１つの持ち主 警察官 G・レストレード 言及されている他の事件 アバーネティ家の恐ろしい事件(語られざる事件） (事件解決の手がかりは「暑い日にパセリがバターに沈んでいった」深さによる） コンク・シングルトン偽造事件(語られざる事件） (「コンク・シングルトン卿文書事件」ジョン・ディクスン・カー著 創元推理文庫「黒い塔の恐怖」に収録） あらすじ 　ある日の夕方、221bの居間に今日はレストレード警部が遊びに来ています。急にもの思わしげに黙り込んでしまったレストレード。ホームズがわけを尋ねると、レストレードはどちらかというとワトスン博士の領域ですよと前置きして奇妙な事件を語り始めました。4日前からナポレオンの胸像ばかりをねらって破壊するおかしな事件が起きているというのです。ワトスンとレストレードは偏執狂の仕業と考えますが、ホームズは裏に何か重大なことが隠されていると考えます。そして翌朝この変わった事件はついに殺人事件まで発展。レストレードから電報を受け2人は現場へ急行します。ホームズはレストレードに殺された男が持っていた写真を借り受け、今夜６時にベーカー街へきてくれるように約束を交わします。ホームズとワトスンはこの写真を片手にナポレオン像の出所を尋ねまわったところ、ベッポというイタリア人の男が浮かび上がってきました。 　6時過ぎ221bでホームズはレストレードと落ちあいます。レストレードのほうも捜査が進んでいて警部はマフィアの抗争が背景にあると力説します。早速犯人逮捕のためにイタリア人地区へと2人を誘うレストレードにホームズは今夜僕と一緒にチジックへ来ればもっと簡単に犯人が逮捕できるとほのめかします。張り込みのかいもあってベッポは逮捕されますがホームズは犯人逮捕には興味はなく、やはり壊されてしまったナポレオン像を丹念に調べています。そしてレストレードにこう告げるのです。「明日の6時にもう一度僕の部屋にご足労願えれば、これはいくつか特徴があって犯罪史上まったくもって特異な事件なのだが、実はその全体像が今なお君にはよく分かっていないのだというところを、きみに説明してあげられるでしょう」と･･･ 解説 いつもはホームズをライバル視しているレストレードが、ラストで事件を見事解決したホームズを絶賛します。思わぬ人にいきなり褒められたのでホームズは動揺してしまい「ありがとう！」と言う事しか出来ませんでした。かわいいです（＾＾）（でもこの時46歳だったわ･･･（笑）） そして頭が混乱状態になったホームズは○○○をレストレードに渡さず、金庫にしまってしまうのでした。（おいおい）でもその後○○○がどうなったかワトスンは何もいっていません。ホームズの隠居の資金源になってしまったのでしょうか？（笑）