ヨーク大学で用務員をしていたと、第６章中盤でホープはホームズに 説明する。第68回はこの部分についた注釈です（河出No.368)

ヨーク大学：一般的にはニューヨーク大学と考えられている。 だがＡＣＤが望んだのであれば、ペンシルヴァニア州ヨークに 架空の大学を寄贈していけない理由は何もないだろう。

　エドワーズ氏、「ザ・ゲーム」をおちょくるような注釈を 時々つけています。

「指輪を取りに来た君の仲間、あれはいったい何者ですか」 と第６章終盤でホームズはホープに質問する。 続いて、この部分についた注釈を（河出No.373)

君の仲間、あれはいったい何者ですか：奇妙にも知られていない。 ホームズの敵役中「偉大なる匿名人(Great Unknown)｣のままである。

『ウェイヴァリー』に始まる歴史小説をウォルター・スコットが 匿名で発表し続けたため、その作者は 'Great Unknown'と呼ばれたとか。 その敬称をエドワーズはここで使っています。

「他人には迷惑をかけたくありません。…あの男はなかなか巧く やったとお感じでしょう？」とホープはホームズの問いかけに答える。 第70回は６章末尾からこの注釈（河出No.374)

なかなか巧くやったとお感じでしょう：読者が最後に聞くホープの言葉。 孤独な憎しみの生涯を送った後で、最後に友人への感謝と称賛を 口にするのは良いことである。

　カトリック教徒エドワーズらしいコメントだと思います。