《赤毛組合》（p94）の依頼人、ジェイベズ・ウィルスンはホームズを訪ねた際、灰色の「こうしもよう」のズボンをはいていました。また《マスグレーヴ家の儀式》（p213）のなかでホームズは、失踪したマスグレーヴ家の執事ブラントンの行方を探すうちに、地下室でブラントンの「厚手のチェック」のマフラーを発見します。これらはいずれも原文では「shepher's check」となっており、これは「shepher's plaid」ともいい、小さい白黒の格子縞のある灰色の布地を意味します。《ボスコム谷の惨劇》（p144）には、父親殺しの疑いをかけられて尋問を受けた青年、ジェイムズ・マッカーシーが事件の現場で見かけたものに関する「なにか灰色で、上着のようなもの、あるいは長い肩掛け（plaid）だったかもしれません」という証言がありますが、この「plaid」という言葉も「shepher's plaid」と同類でありまして「河出書房新社版ホームズ全集」の注釈によりますと、タータン・チェック、もしくは市松模様の入った綾織りの長い毛織物を指す、とあります。
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ジェイベズ・ウィルスン
《赤毛組合》
(Ｓ・パジェット画) |
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