マキーナンは《隠居絵具屋》の事件を担当したスコットランド・ヤードの警部で、ワトスンは彼のことを「若いきびきびした警察官」と書いています。例によってホームズは、事件の謎を解明したあとは、すべて警察にゆだねることにして「それが私のいつもの方法です」と言いましたが、マキーナン警部はこれを受けて「警察を代表してお礼を申し上げます」と感謝の意を表しました。その数日後、ホームズが隔週刊の地方紙「ノース・サリー・オブザーヴァー」をワトスンに投げてよこしました。それには事件に関する詳しい記事が載っていて、その最後の一節は次のように書かれていたのです。
マキーナン警部の（略）すばらしい洞察力、（略）大胆な推理、その後の捜査での（略）古井戸からの死体発見。これらは警察捜査陣の頭脳がいかに素晴らしいものであるかを示す例として、犯罪史に永遠に残るものであろう。
ホームズは余裕のある笑いを浮かべながら言います。「まあ、まあ、マキーナンはいい仲間だからね。これはぼくたちの事件記録に入れておいてくれたまえ、ワトスン。 いつの日にか真実が語られるかもしれないからね」
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依頼人のアンバリーが見に行った、と言っている「ヘイマーケット劇場」
高田寛所蔵 |
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