では最初に、この小冊子の概要を箇条書きしよう。

　　☆プランゲ文庫収録号数：No.1〜No.4

　　☆タイトル：No.1〜3　「探偵小説ニュース」＋'DS news'
　　　　　　　　　 No.4 　'DS news'＋「ＤＳニュース」
　　　　　　　＊いずれも表紙に併記。プランゲ文庫は「探偵小説ニュース」を項目名に使用。

　　　☆サイズ：不明。

　　　☆分　量：一号につき４〜６頁
　　　　　　　＊新刊書に挟むチラシのような出版物か？　論創ミステリ叢書32 　
　　　　　　　延原謙探偵小説選』(2007)は「自由出版のＰＲ誌」と説明している。

　　　☆発行時期：No.1　1946年(昭和21年)8-9月
　　　　　　　　No.2　1946年11-12月
　　　　　　　　No.3　1947年1-2月
　　　　　　　　No.4　1947年10月10日
　　　　　　　＊１〜３号は不記載なので内容から推測。４号は記載あり。

　続いて、ホームズ全集に関連する内容を順番に見て行きたい。
　第１号はホームズ全集発刊に合わせて刊行されたらしく、ホームズ物語が話題の中心である。「ホームズ書誌」にも記されている下記３編のエッセーの他に、編集部によるホームズ全訳刊行のあいさつと、ホームズ懸賞論文の募集予告が載っている。
　　　　　　・江戸川乱歩「ホームズは生きている」
　　　　　　・延原謙「ホームズ解説」
　　　　　　・森下雨村「延原君と『ホームズ』」

　予告された懸賞論文は第２,３号で募集され、ホームズはどれが傑作か、意見をまとめて送るようにと、編集部が読者へ呼びかけている。１〜３号にはホームズ全集の広告も載っており、第３号の「近刊案内」欄では「緋色の研究　三月上旬発売予定」と告知されている。同じ第３号の「編集後記」も「緋色等、もうしばらくお待ち下さい」という言葉で結ばれているから、自由出版社が1947年(昭和22年)初頭の時点で、この全集の刊行を続けるつもりだったことが確認できる。
　第４号は第３号から半年以上経った1947年10月に発行された。この号には、ホームズ全集に関連する内容は広告を含めてまったく見当たらないが、「著作権」と題する約500字のコラムがある。このコラムが全集刊行中断の理由を説明していると思うので、章を改めて全文を引用したい。