ライゲイト
 ホームズがフランスで過労におちいり、
ワトスンの助けで帰国した。その時、彼等
が保養地に選んだのがライゲイトである。
ライゲイトには、アフガニスタンでワトス
ンの治療を受けたことのある大佐が居をか
まえていた。彼等は大佐の好意にあまえて
そこに滞在した。ワトスンは、気候のよい
春の日を田舎で過ごすのは魅力だと思った。 
『ライゲイトの地主』の事件はこの時に起った。事件現場の邸宅は、
樫の並木道のある、クイン・アン式の古い建物で、玄関のドアの上に
1709年9月11日というマルプラケ記念の日付がきざんであった。
 また、この地にはクレイグの墓地がある。ホームズと漱石がロンドン
で出合ったと、山田風太郎、島田荘司、伊村元道などがとなえているが、
二人を繋ぐ架け橋がクレイグである。漱石は、ロンドン滞在中に地下鉄
ベイカー街駅を利用してクレイグ先生の下宿に通い、英文学を学んだ。
クレイグは1906年になくなり、ライゲイトで葬儀をおえてこの地に
埋葬された。 
 ライゲイトへはチャリング・クロス駅からレッドヒルで乗り換えて
一駅目である。