唇の曲がった男 原題 The Man with the Twisted Lip　(略はTWIS) 初出 ストランド・マガジン　1891年12月 イラスト シドニー・パジェット(10枚) 邦訳・初出 「乞食道楽」 日本人6〜9　1894年(明治27）1月3日〜2月18日 地名 フレスノ街アバディーン汽船会社の事務室 セントクレア夫人が小包みを受け取りに行った アッパー・スワンダム・レイン　「金の棒」 ネヴィル・セントクレアが行方不明になったアヘン窟 ケント州リー　杉屋敷 ネヴィル・セントクレアの家 事件内容 失踪 主な登場人物 ネヴィル・セントクレア………｢杉屋敷｣の主。アヘン窟｢金の棒｣より行方不明になる セントクレア夫人………ホームズに夫の行方の調査を依頼する アイザ・ホイットニー………ワトスンの妻の友人の夫。アヘン中毒者 ケイト･ホイットニー………ワトスンの妻の友人 ヒュー・ブーン………シティーの名物乞食 警察官 ブラッドストリート警部 言及されている他の事件 なし その他 セントクレア夫人の手紙(パスティーシュ） あらすじ 　1889年6月の深夜そろそろワトスン夫妻が寝室へ引きこもろうとした時、ワトスンの妻の友人ケイト･ホイットニー夫人の訪問を受けます。彼女の夫アイザ氏がアヘン窟「金の棒」からかえってこないというのです。ワトスンは早速アイザ氏を探し出し家に帰るように促しました。するとそこで気味の悪い謎の老人に声を掛けられます―――変装したホームズでした。ホイットニー氏を一人帰しワトスンはホームズの冒険に同行する事にします。今度事件のあらましはこうでした。今回の依頼人はセントクレア夫人。用事があったのでロンドンに向ったところが道に不慣れなため例のアヘン窟｢金の棒｣の通りに迷い込んでしまいました。ふと見上げるとこのようなところにいるはずのない夫ネヴィル氏が｢金の棒｣がいるではありませんか！夫の身に何かあったと思い行ってみるとそこにネヴィル氏の姿はなく｢足の不自由なブーン｣と呼ばれる乞食が独りいるだけでした。ブーンは逮捕されましたが捜査は一向に進展しません。ホームズはネヴィル氏が死亡したと予想しましたが、夫人から今日配達されたというネヴィル氏からの手紙を受け取ります。その晩ホームズは一睡もせず1オンスのシャグ煙草を燻らせます。そして明け方寝ているワトスンを叩き起し昨夜の陰鬱な姿とはうって変わってご機嫌で解決の鍵が｢浴室｣にある！とカバンを指差しました。カバンには一体何が、ホームズは何をしにブーンのいる留置所に行こうというのでしょうか。 解説 　冒頭でワトスン夫人は夫の名を｢ジョン｣ではなく｢ジェイムズ｣と間違え、夫ワトスンは夜中に手紙1通妻に寄こしただけで本業ほっぽらかしで友人と冒険に出かけてしまいました。ワトスンは｢シャーロック･ホームズの頼みごとを拒絶する事はまずむずかしかった。｣と言い訳していますが。そりゃ単調な医者の仕事よりこちらの仕事の方が面白いのは明白。ドクター、ホームズの所為にしてはいけません(笑) 正直この夫婦は大丈夫なのか心配です･･･。