金縁の鼻めがね 原題 The Adventure of the Golden Pince-Nez　(略はGOLD) 初出 ストランド・マガジン　1904年7月 イラスト シドニー・パジェット(8枚) 邦訳・初出 探偵小説鼻眼鏡　勝間船人訳 文芸倶楽部　1908年(明治41)2月 地名 ヨックスリー・オールド・プレイス 事件内容 殺人 ワトスンの描いた殺人現場の見取り図 主な登場人物 コーラム教授………事件があった屋敷の所有者 ウィロビー･スミス………コーラム教授の秘書。何者かに殺される ミセス・マーカー………屋敷の家政婦 スーザン･タールトン………メイド モーティマー………庭男、クリミア戦争に従軍して軍人恩給を受けている 警察官 スタンリー･ホプキンズ 言及されている他の事件 ・赤蛭と銀行家クロスビーの惨死事件　(語られざる事件） 「赤いひる」オーガスタス・ダーレス著　早川書房「ミステリーマガジン」1967年4月号に掲載 ・アドルトンの悲劇　(語られざる事件） 「ファウルクス・ラス館の事件」ハヤカワ・ポケット・ミステリー　アドリアン・ コナン・ドイル著「ホームズの功績」に収録)　 「アドルトンの悲劇」(創元推理文庫　ジューン・トムスン著 「シャーロック・ホームズのジャーナル」に収録) ・英国古代の塚から発掘された奇怪な品々にからまる事件　(語られざる事件） (ジューン・トムスンはこの事件と「アドルトンの悲劇」は同じ事件だとしている) ・スミス・モーティマーの相続事件　(語られざる事件） 「スミス・モーティマーの相続」(創元推理文庫　ジューン・トムスン著 「シャーロック・ホームズのジャーナル」に収録) ブールヴァールの暗殺者ユレの追跡逮捕　(語られざる事件） ホームズはこの事件を解決をしたことによりフランス大統領から感謝状と レジオン・ドヌール勲章を贈られた。 その他 ｢昼食にはカツレツの大きいのをと言うご注文です｣(ミセス・マーカー) あらすじ 1894年11月も終わりに近い激しい嵐の晩のこと、２人が221ｂの居間でくつろいでいると突然訪問客がやってきます。ホプキンズ警部でした。今抱えている事件が難航してホームズに助言を求めに来たのです。事件のあらましはヨックスリー・オールド・プレイスという屋敷の主コーラム教授の秘書ウィロビー･スミス氏が書斎で何者かに殺害されたというものでした。死の間際に「先生――あの女です」のつぶやきを残して･･･。ホプキンズ警部は事件現場を略図にしたものと、現場に残されていた犯人所有と思われる『金縁の鼻眼鏡』をホームズに見せます。ホームズは金縁の鼻眼鏡を手にしただけでこの持ち主の特徴を言い当てしまいました――猫背で近眼の淑女風の女と。翌朝現場検証にむかいます。すると書斎の箪笥の鍵穴の近くに犯人がつけたと思しき新しい傷を発見しました。次に教授の寝室へ向います。するとホームズは教授に進められるがまま4本ものタバコを吸いながら部屋を往復します。教授の昼食の時間が近づいてきたので部屋を退散したホームズですが女中頭のミス・マーカーに教授の食欲について尋ねます。するとあのような事件のあった後のはずなのに教授の食事の量が増えているというのです。そして再び教授の寝室へ向いました。教授は｢謎は解けましたか｣といいながら勧めてくれたタバコの缶をホームはわざと倒してそれを拾い終わり、立ち上がった時ホームズはこう言い放ち放ちました。｢ええ!解けました｣「ここで」…とホームズは何を証拠にこのようなことをいったのでしょうか？ 解説 またまたホームズのお気に入りホプキンズ警部の登場です。ワトスン特製のレモン水も飲めるし、ホームズからはタバコも勧めてもらえるなど大歓迎です。ベーカー街入りびたりの(「6つのナポレオン」参照)レストレード警部も彼の謙虚振りを少しは見習って欲しいですね(笑)今回ホームズの特技は一つ披露されています。ワトスン曰く“その気になれば女性に取り入るのがたいへんうまい”というものです。そういうワトスンはその気にならなくても女性に取り入るのがたいへんうまいんでしょうねえ(ニヤリ)