ベアリング‐グールドの『緋色の研究』の注の69 ちくま文庫(第２巻82頁) 東京図書版(第3巻51頁) 　ジョン・ボール二世が『初期のベイカー街」で述べているように、「スコットランド・ヤードきっての腕利き(グレグソン）」が、若い素人であるホームズにこれほど驚くべき尊敬を払っているところを見ると、グレグソンが能力および地位の点でホームズの優位を認めていたとしか考えられない。 　ボール氏の見解によれば、ホームズはイギリス政府の私的代理人を当初より努めていたとのことである。身分上の資格は、「勅書送達使」という「独特な、またきわめて少数のみに許される官職に分類されていたものと思われる。勅書送達使は、公務の際にはイギリス領内のどこにでも行くことが可能であり、この分野では非常な権威を有している。必要の際には、巡洋艦を使用することも出来る。勅書送達使は特別の外交急使であり、委任使節であり、最重要事の特別な任務を負っている」