人々が行き交う道、銀行の向こうに一人の怪しい男が窺っています。 その視線の先には警察官が乗り込んだ黒塗りの馬車が一台。 馬車は銀行の裏へと回りました。そして荷物が降ろされます。 先ほどの男は、その荷物が銀行に入るのを確認すると、ロンドンのいずこかの建物へ入っていきました。 部屋には顔が見えない男がひとり、その男に先ほどの黒塗りの馬車の積荷のリスト---フランスの銀行からの金貨---が握られているのでした。

　さて、場面は変わって221bの居間。
　一人の赤毛の男が窓際にすわっており、ホームズは新聞に目を通していました。 そこへワトスンが入ってきますが、お客がいるから出直そうとすると、ホームズはソファを飛び越えてワトスンを呼び止めます。 そして、赤毛の男性−−−ウィルソン氏にワトスンを紹介したあと、次に彼のことを推理しはじめます。
「分かるのは、昔手先の仕事をしていたこと、中国にいたこと、そして最近書き物をしていたことだけ」 まだ自分のことを話していなかったウィルソン氏はびっくりします。 ホームズは、こんなことは簡単とばかりに種明かしを。
　ウィルソン氏は昔大工の仕事をしていたのですが、ホームズ曰く、左手よりも右手の方が発達をしているから、手仕事をしていたと分かったとのこと。 最近書き物をしていたと分かったのは、右の袖口が擦り切れて光っている。 中国は右手首に魚の刺青をしていることと、時計の鎖の飾りに中国の貨幣がさがっていることから分かったと・・・ ここまで言うとウィルソン氏は笑いながら、聞いてみるとあまりたいしたことないですなあといいました。 ホームズはムッとしますが、直ぐに本題に入ります。
　ワトスンはホームズに新聞を渡されました。そこにはこんな広告が 「赤髪に告ぐ、アメリカ合衆国の故ホブスキンズ氏の遺志に基づく、当連盟に欠員が1名生じた。名目だけの仕事に週4ポンド。赤髪の持ち主で心身健全。21歳以上の男性は資格あり。 希望者は月曜11時。連盟事務所のロス氏まで。ポープス・コート7番地」 2ヶ月前のものでした。
　そして今度は、何故相談を持ち込んできたか、ウィルソン氏の話が続きます。 ウィルソン氏の職業は質屋。シティーに近いコバーク通りにあります。 しかしながら、商売は何とか暮らしが成り立つ程度。 前は2人いた雇い人も今では1人で、しかも給料はよその半分。その奇特な雇い人の名前はスポールディングといい、大変気の効く男だとのことでした。 唯一の欠点は写真マニアで、暇さえあれば地下室で現像をしているのだそうです。 さて、例の広告をみつけたのも、このスポールティングでした。 2ヶ月前のある日、自分も赤毛だったらなあ！といいながらウィルソン氏に、この広告を見せたのです。 普段は出不精のウィルソン氏でしたが、赤髪連盟欠員の募集にひかれました。 そこで月曜日の朝、店を閉めスポールティングと一緒に事務所へ出かけました。 ところが事務所の前はありとあらゆる赤髪の人たちで大混雑。しり込みをするウィルソン氏をスポールティングは引きずって割り込みをしつつ、事務所に入れました。 するとそこには赤髪の男が一人。 彼はウィルソン氏を一目見て合格と決めました。 そして彼は自己紹介をはじめます。 自分の名前はダンカン・ロス。連盟からの基金で年金を受けている。赤髪連盟はアメリカの大富豪ホブスキンズ氏自身が赤髪で、故郷ロンドンの赤髪の男性のために設立したと説明をします。 仕事は10時から2時とのことなので、その時間帯は商売が暇な時なので大丈夫だとウィルソン氏は承諾します。 ところが、ここからおかしな勤務条件がでてきました。 この時間帯は、いかなる病気や用事があってもこの事務所から一歩も外へ出てはならないこと。そして、その仕事とは大英百科事典の筆写ということでした。
　富豪からの遺言なのに、なぜかペンと紙は持参せよ・・・ ホームズはケチ臭いとつっこみます。 なので、ウィルソン氏も詐欺か何かとおもったのですが、とりあえず月曜日に例の事務所を尋ねました。
　するとダンカン・ロス氏が事務所で待っていてくれて、この奇妙な仕事は始まりました。 毎日10時から始まり、12時半に昼食。2時にはダンカン・ロス氏が来てくれて、そして毎土曜日に報酬をくれる・・・ ところが8週間後、AからBの項目へ移る矢先の今朝。それは突然終わりました。 事務所に行ってみると、鍵は開いておらずドアにはただ一言「赤髪連盟は解散する」との張り紙があるだけ。 慌てて隣の事務員に聞いてみると、ダンカン・ロス氏という人物は知らない、あの事務所はモリス氏という弁護士に貸していて、昨日引っ越していったと・・・
　キング・エドワード街へ行ってみると、該当する住所には事務所はなく膝宛ての製造工場があるだけした。 あまりにも奇想天外なことに、聞いてホームズとワトスンは大笑い！ ウィルソン氏は怒り始めました。
　ワトスンは、お金ももらったしAの項目の知識も得たんだからいいじゃありませんかと慰めましたが、ウィルソン氏は何故こんな手の込んだ悪戯をしたのか真相が知りたいと息巻きます。 すると、ホームズが例の雇い人のことを聞きました。 応募した時やってきたのは12人。しかし賃金が半額ということでスポールティングを雇いました。 背は高く、きゃしゃな身体つき、きびきびとしてひげはなし。額に酸による白いやけどの跡。
　そして、ホームズは訊ねます。 「耳にピアスのあとはありませんか？」と。
　するとウィルソン氏は、ありますよ。なんでも子供の頃ジプシーに開けられたとか・・・といいました。 何故、そんなことホームズが知っているのか？ 帰ろうとするウィルソン氏に、ホームズは「今日は土曜日。月曜日には事件は解決してますよ。そして相談料はよそで支払ってもらえます」と不思議なことを言い残しました。
　ウィルソン氏を見送ったあと、どんな事件なんだろうと訊ねるワトスンに、ホームズはパイプ三服の問題かな？50分ほど黙っていてくれと告げるのでした。

　場面は、変わり画面いっぱいに開かれた地図。 そして、それを眺める男の後姿が登場します。 部下らしき人物が彼に近づいてきて、一言「赤髪連盟の件、完了です。万時指示通りです。教授」
　再び、ベイカー街に戻り、ホームズは考えがまとまったようです。

　ウィルソン氏の店の周りを偵察に出かけました。が、何故かスポールティングに道を尋ねたり、舗装された道路をステッキで叩いたりして、同行したワトスンにはホームズの意図が全く読めません。 そんな事件に夢中のホームズは、そんなワトスンの気持ちはつゆほども知らず、「これは大規模な犯罪だ」 というと、気分転換にサラサーティの演奏を聞きに行こうと！音楽会へ行ってしまうのでした。

　ジョーンズ警部と銀行の頭取メリウェザー氏が到着しました。 メリーウェザー氏は、うちの銀行はロンドンで一番警備が厳しい、何故呼び出さなければならんのだ！土曜日にカードが出来ないのはこの27年間で初めてだ！ と怒っています。
　でも、ホームズは今夜のゲームは刺激的で、掛け金も最高ですよ。と慰めました。 そしてジョーンズ警部にジョン・クレーのことを訊ねます。 警部は目を光らせました。
　スポールティングことジョン・クレーは、祖父は公爵で自身もオックスフォード大を出ている男なのですが、殺人犯、窃盗犯、偽金使い、そして文書偽造の犯人なのでした。 ジョーンズ警部も何年も追いかけているのですが、頭も切れ機敏なので逮捕できないでいたのです。 4人は221bをあとに銀行の地下金庫へ向かいました。 絶対、賊なぞ入る余地はない！とブツクサいっているメリーウェザー氏。 ホームズは何故彼らがこの支店を狙っているか、メリーウェザー氏に尋ねました。最初は素人探偵ごときにと、渋っていた氏でしたが、あなたのクビがかかっていると脅されると、やっと答えました。 フランス銀行から資本強化のために金貨を借り入れた、そしてこの支店にはそれ以外にも金が保管されていると。

　長い夜が始まりました。 ホームズと警部は何故か金庫の床を調べています。 ホームズはこの盗難の実行役はクレーだが、影にモリアーティ教授という物凄い黒幕がいると明かしました。 と、どこからともなくカツン、カツンという奇妙な音が聞こえてきます。 ホームズは全員を物陰に隠れさせ、ランタンの明かりをけしました。 あたりは漆黒の闇に包まれます。 音は次第に大きくなってきました。と、その時、床の一部が消え、白い手が出てきました。 そこから、泥だらけになったクレーともう一人が現れました。 が、ホームズたちに気づいたクレーは、相棒に「アーチ！逃げろ！」と怒鳴りました。 あっという間に、クレーは逮捕されました。 そして連行されるクレーにホームズはたずねます。
「赤毛連盟はモリアーティ教授のしわざかな？」 クレー「長生きしたければ、その名前を口にしないことだな」
　同じ頃・・・ウィルソン氏の質屋。 クレーの片割れと警官達が大暴れ！店内はとんでもないことになってしまいました。

　そして、モリアーティ教授の隠れ家。 部下から赤髪連盟の失敗を聞き、その原因にホームズがいたことの報告を受けました。 今まで3度も企みを邪魔された教授。 堪忍袋の尾が切れた彼は、ホームズを何とかしなければならないと心に決めたようでした・・・