「青い紅玉」　あらすじ

　　　　　グラナダ・テレビ版　第7話　「青い紅玉」　あらすじ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　by　アマデウソ

（冒頭のスタッフロールと共に流れる宝石の歴史についてのシーン解説は「撮影小話」をご覧ください）

　クリスマスを数日後に控えたある日、モーカー伯爵夫人の豪華な二頭立て馬車がロンドンを走り抜けます。馬車は伯爵夫人が滞在しているホテル・コスモポリタンの前で止まりました。
　その頃、伯爵夫人の部屋ではメイドとホテルの案内係のジェイムズ･ライダーが何やら親密な様子。が、せっかくの逢瀬も伯爵夫人の予定よりも早かったお帰りで中断となってしまいました。ジェイムズ･ライダーは服装を整えると、居間の暖炉の修理をしていた鉛管工のジョン･ホーナーをさっさと帰らせます。それと入れ違いに伯爵夫人が宿泊している部屋戻ってきました。彼女はメイドに風呂の準備を言いつけ、居間へ行きます。メイドがお風呂の用意をしていると突然居間から伯爵夫人の叫び声が聞こえました。外出している間に大切にしていたブルー･カーバンクルが盗まれてしまったのです。メイドとライダーの証言により、暖炉の修理をしていたホーナーが逮捕されました。

　それから数日後、クリスマスの午前中のベイカー街。クリスマスの買い物に出かけたワトスンと入替りにコミッショナーのピータースンがやってきました。手には古ぼけた帽子とガチョウが一羽。
　ホームズはまだ寝ていましたが、ハドスン夫人にたたき起こされ寝起きの一服をやりつつピータースンから帽子とガチョウの話を聞くことにしました。夕べ仲間達と一杯ひっかけたピータースンは、男が与太者にからまれている所へ遭遇しました。一喝すると与太者たちは制服をきたピータースンを警察官と間違え逃げてしまいましたが、からまれていた男も一緒に逃げてしまったのです。

　そこには帽子とガチョウが落ちていました。

　ピーターソンは持ち主に返してやりたいと思いましたが、警察に行くには何なので、奥方の助言に従い、こちらへ持ってきたのです。ホームズはガチョウをピータースンに与え、帽子だけ預かることにしました。

　同じ頃ホテル・コスモポリタンのスイートルーム。一向に宝石が見つからないので伯爵夫人は怒りくるっていました。 "犯人"を捕らえたものの事件が全く進展していないブラッドストリート警部は、伯爵夫人に"犯人"には共犯がいるはずなので、懸賞金を出すことを提案します。夫人もそれに応じました。

　そんな戦々恐々のホテルとは正反対のベイカー街。ワトスンがクリスマスの買い物を終えて帰ってきました。ホームズが喜びそうな新聞記事を見つけたので、到着そうそう早速読み上げます。が、ホームズは先程の帽子を見つめ思案中。
　ホームズはワトスンに帽子の推理をして見ないか？と誘います。でもワトスンにはチンプンカンブンです。さっそくホームズから推理のご拝聴をします。ホームズは帽子の主が「昔は羽振りが良かったが今は落ちぶれた男」といいます。その理由をワトスンに語っているとき、突然ピータースンが戻ってきました。そしてガチョウの餌袋からこんなものが出てきたといってみせてくれたのが、今世間を騒がせている伯爵夫人の「ブルーカーバンクル」だったのです。

　ひとまず宝石は預かり、何故餌袋から出てきたのかを突き止めるべく、帽子とガチョウの持ち主を捜すため、新聞に広告を出しました。その日の夕方、ガチョウと帽子の持ち主としてベイカー氏が訪れました。ホームズが言ったとおり、昔は豊かだったようですが、今は落ちぶれているようです。ホームズはベイカー氏に代わりに新しいガチョウに渡して、落としたガチョウの餌袋や羽根は要りますか？と鎌をかけましたが、ベーカー氏は冗談と受け止めて丁重に断りました。どうやら彼は宝石のことは知らないようです。次にホームズはガチョウの入手先をたずねました。
　ベイカー氏の話によるとガチョウは行きつけのパブ「アルファ・イン」の主人が作ったガチョウクラブーーー毎週何ペンスかづつ積み立てるとクリスマスにガチョウが手に
入るーーーからもらったと言う事でした。ベイカー氏が知っているのはここまでで、彼は 221b を後にしました。ホームズとワトスンはベイカー氏からえた情報を元に、ハドスン夫人のご馳走も後にして、ガチョウの生まれた先を訪ねる旅にでます。

　まず訪れたのはベイカー氏いきつけのパブ「アルファ・イン」。ビールを頼むついでのふりをして、ガチョウのことを店主に尋ねました。が、ガチョウはここで育てたものではなく、コベント・ガーデンから仕入れたとのこと。寒いと･･･愚痴をたれるワトスンは無視して、次はコベント･ガーデンへ向いました。店に行くとすでにガチョウは売り切れでした。早速鳥の仕入先を聞こうとすると、店主は怒り始めました。どうやらホームズ達が来る前に同じことを聞いた人物がいるようです。そこでホームズは一計を案じました。
「仕方がない。賭けは中止だな」
「賭け？」
　店主は何故かその言葉に反応しました。ホームズは続けます。
「僕は鳥の味にはうるさい男でね。あれが田舎で育った鳥だとこの男と賭けたんだよ」店主は勝ち誇ったかのように笑い「じゃあ負けだね、町育ちだ」と言って証拠だと仕入帳をみせました。そこに書かれていた住所･氏名は「オークショット夫人・ブリクストン通り」
　早速そこへ向おうとしていた矢先、先程の店主が男と言い争っています。彼もまたガチョウを探しているようです。
ホームズはその男を 221b へ招待しました。最初男は偽名を使いましたが、観念したのか本名を名乗りました。
ジェームズ･ライダーと。
　そして「ブルー・カーバンクル」と対面させます。ライダーはそのまま床に崩れおちました。ホームズはライダーの悪行を暴露します。ライダーはこのことが両親に知れれば二人は死んでしまう、ばらさないでくれと懇願します。そんなライダーをほうって、ホームズはライダーになぜガチョウの胃袋に宝石が
いたのかを聞きました。

　宝石を手にしたものの小心者のライダーは、それを持っていることができませんでした。そこでどうしようかと姉の家を訪ねました。庭で一服をしていると、目の前にクリスマス用のガチョウが群れを成していました。そこでライダーはガチョウの腹の中が隠し場所にうってつけだと考え、そのうちの一羽の口に宝石を押し込んだのです。姉にはそのガチョウをクリスマス用にくれといい、後でもらってきました。ところが手違いで別のガチョウを持ってきてしまったのです。再度姉の所へいったのですが、後の祭りガチョウは出荷された後でした。
　そこで宝石入りのガチョウを探しているところをホームズ達とあったのです。話を聞き終わるとホームズはライダーを解放しました。ワトスンは犯罪者を野に放したことに不服そうでしたが、ホームズは一言「僕は警察に雇われて仕事をしているわけじゃない！」
ライダーのような気の弱い人間を監獄へ送り込んでも、更正するどころか一生立ち直れないと。そしてホームズは宝石を自分の引き出しへしまいました。

　さて、クリスマスのご馳走にありつこうと二人は席に着きましたが、ワトスンはホーナーのことが気にかかってしょうがありませんでした。そして二人はご馳走もそこそこにホーナー釈放のために警察へ向いました。遅くなりましたが、ホーナー一家に幸せなクリスマスがおとずれたのです。