グラナダ・テレビ版　第1話　「ボヘミアの醜聞」　あらすじ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　by　アマデウソ 　コソ泥がとある屋敷の一室を物色しています。しかし彼らの狙いは金品ではないようで、カバンの内側の布を引き裂いたり、この屋敷の女主人らしき肖像画を引き裂いたりと不可解な行動を取っています。 　そこへ物音に気づいた召使の男性と拳銃を構えた女主人がやってきます。召使は彼らを捕まえようとするのですが、なぜか女主人はこの浸入を前もって知っていたようで、そのまま逃がしてしまうのでした。 　さて場面は変わり、ベイカー街221bの前に一台の馬車が止まります。バカンスへ行っていたワトスンが帰ってきたのです。ハドスン夫人によるとホームズは食事もせず居間にこもりっきりとの事でした。ワトスンが居間へ行くと妙に上機嫌なホームズが、マントルピースの前に置いた椅子に膝を抱えて座っていました。 　またコカインをやったのかと責めるワトスンに、ホームズは一枚の紙を渡しました。ホームズの気分が高揚していたのはコカインのせいではなく、仕事の依頼がきたからだったのです。 　やがて覆面をした一人の依頼人が221bを訪れました。最初は偽名を使っていた依頼人でしたがホームズはそれを見抜きます。彼はボヘミア王ヴィルヘルム・ゴッツライヒ・ジギスモント・フォン・オルムシュタイン。3日後にスカンジナビア国王の第2王女との婚約発表を控えていました。 　ところがかつて愛人であったオペラ歌手のアイリーン・アドラーがそのことを知り、その昔国王がうかつにも撮ってしまった二人の写真を先方に送ると脅してきたのです。 　驚いた国王は人を雇いアイリーンの家へ写真を取り戻すため浸入させますが写真を発見することは出来ず、最後の手段としてホームズに写真奪還を依頼してきたのでした。 　冒頭の二人の泥棒は国王に依頼された者たちで、そしてあの屋敷の女主人はアイリーン・アドラーだったのです。 　さっそくアイリーンの身辺を探るためにホームズは馬丁に変装します。彼女の屋敷を見張っていると、彼女の家に頻繁に出入りしているノートンという若い弁護士が突然訪問してきました。そしてアイリーンに何かをことづけ慌しく馬車でどこかへ行ってしまうと、後を追うようにアイリーンも出かけてしまいます。 　ホームズは直ちに彼らを追跡します。しかし二人が向った先は教会で、そこで結婚式を挙げてしまったのです。しかもホームズは彼らの結婚式の立会人を務めることになってしまいました。 　結婚式を挙げたという事実をつかんだホームズは、写真の隠し場所を確認する計画を実行するために一度221bへ戻ってきます。そして次は牧師に変装をし、ワトスンと共に再びアイリーン宅へ舞い戻りました。 　やがて外出していたアイリーンが自宅へ帰ってくると、門の前でホームズが雇った与太者たちが突然喧嘩を始めます。ホームズはその喧嘩を仲裁しようとワザと殴られ気絶する振りをし、びっくりしたアイリーンの好意によって屋敷へ入ることに成功しました。そして打ち合わせ通りホームズの合図を受けたワトスンが、火事に見せかけるために部屋の中へ発炎筒を投げ入れます。 　ホームズは間髪いれず「火事だ！」と叫びました。あわてたアイリーンは写真の隠し場所に駆け寄りました。それを横目で確認したホームズとワトスンは意気揚々と221bへ帰ってきます。 　ホームズが下宿の玄関の鍵を開けようとしていると、後ろから「おやすみなさい。シャーロック・ホームズさん」という女性の声がしました。振り返るとそこには細身の青年が通り過ぎていったところでした。 　次の日ホームズはボヘミア王と共にアイリーンの家に向かいます。しかしアイリーンはホームズ宛に全てを語った手紙を残し英国を去っていた後でした。 　221bへ帰ったホームズはこの事件を追憶するようにヴァイオリンをかき鳴らします。 「あの女(ひと）」に敬意をこめて。