第9章 引用の出典

1.聖書からの引用

シャーロック・ホームズの帰還(「河出書房新社版ホームズ全集」第6巻)
漢数字は引用部分の掲載ページ、( )内の漢数字はその引用に関する注釈の掲載ページ、同算用数字はその注釈番号です。
《空き家の冒険》
1) ぼくがこの世に生きている(I was still in the land of the living) 二四 (五一二 22)
「人はその評価ができない。それは生けるものの地(the land of the living)では見つけられない」(旧約聖書「ヨブ記」第28章13節)からの引用であります。 
《ノーウッドの建築士》
1) ジョナス・オールデイカー 五二 (五二八 81)
 ジョナス(Jonas)という名前は、聖書に登場するヨナ(Jonah)の異称である。"Jonas"は"Jonah"のラテン語形で、ラテン語から英訳されたドゥエー聖書では"Jonas"が使われていました。
《孤独な自転車乗り》
1) あなたはそれを愛と言うが、わたしに言わせれば、身勝手というものですよ 一一四 (五四三 142)
 このワトスンの言葉は、新約聖書「コリント人への手紙」第13章4〜6節の言葉「愛は寛容であり、愛は親切です。また人をねたみません。愛は自慢せず、高慢になりません。礼儀に反する事をせず、自分の利益を求めず、怒らず、人のした悪を思わず、不正を喜ばずに審理を喜びます」を起源とするものかもしれない、と注釈者R・L・グリーンは解釈しています。
《プライオリ学校》
1) ルービン・ヘイズ(Reuben Hayes) 一九一 (五七一 208)
 ルーベン(Reuben)という名は、旧約聖書「創世記」に由来します。ルーベンはヤコブの長男で、弟のヨセフを殺さずに、穴の中へ落とす手配をしたのであります。
《三人の学生》
1) わたしの過ちが発覚する前に書いたものです 三三九 (六一七 380)
「あなたがたの罪の罰があることを思い知りなさい」(旧約聖書「民数記」第33章23節)を踏まえたものであると、注釈者R・L・グリーンは解釈しています。
《金縁の鼻めがね》
1) 「《金縁の鼻めがね》注」
 六一九ページで、床に灰を撒くアイデアは旧約聖書「ダニエル書」に遡ることができると指摘されている。そこでは聖職者たち(ならびに彼らの妻や子どもたち)が、神像の前に捧げられた食べ物を消費していることを王に証明するために、ベルの神殿の前に灰が撒かれたとされています。
2) そして困難な時が訪れたのです 三七四 (六二七 414)
 旧約聖書「ヨブ記」第38章23節、「詩篇」第27章5節、「エレミア書」第2章27節などにある言葉であります。