ホームズがワトスンに説明したところによると、レイディ・フラーンシス・カーファックスは「故ラフトン伯爵家の直系としては、生存するただひとりの人物だ。(略) 美人で、まだ中年の域に入ったばかりだが、運命のいたずらでつい二十年ほど前までの威風堂々たる存在は、今ではもう見る影もない残骸なのだ。(略) きわめて几帳面な性格で、この四年の間、かつての家庭教師のドブニーさんに、二週間ごとに一度も欠かすことなく手紙を書き送ってきていた。(略) 相談を依頼してきたのはこのドブニーさんなのだ。一言の連絡もないまま、五週間も過ぎようとしているのだそうだ。最後の手紙は、スイスのローザンヌにあるホテル、オテル・ナシオナルから届いた。（略）君にローザンヌへ保養旅行に行ってもらいたいのだ。アブラハム翁が死の恐怖にさらされている時に、ぼくがロンドンを離れられないのは、わかってくれるだろうね」というわけで、ワトスンはレイディ・フラーンシスの行方を追ってヨーロッパへ出かけたのでありますが、結局彼女が舞台に姿を現わすのは、いよいよ最後の段階でありました。彼女はクロロホルムで眠らされた状態で生き埋めになる寸前になってやっと、ワトスンとあとから合流したホームズによって助け出されるのであります。
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フラーンシス・カーファックス(奥）
(アレック・ボール画）
《フラーンシス・カーファックスの失踪 部分拡大》より |
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