| 《ボスコム谷の謎》事件の中でホームズは事件現場の最寄り駅に着くまでの列車のなかで『ペトラルカ詩集』を読んでいます。この詩集については『シャーロック・ホームズと見る ヴィクトリア朝英国の食卓と生活』のなかで説明をしていますが、人妻ラウラを思慕する詩が載っている詩集を読むホームズの気持になって詠んでみました。 シャーロック・ホームズのイメージとは違うかも知れませんが、こういう一面も持っていたのでは、と想像して詠んだものです。（関矢悦子） |
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ホームズの心になりて詠める詩 心のざわめきの理由を問いかければ 線路の音が「あの女性」の応えに聴こえてくる 「何をお考えなの？」とでも言うかのように 行く旅路の先には何が待っているのだろうか？
友の無言に恋の哀れさを知る人の優しさを感じて 古のイタリア人の想いを読めば 観察と推理の機械のような精神が 氷のように溶けてゆき 心の水面に映るは ベイカー街を歩み去る うしろ姿 はかなげにアルスター外套で装いて 我が名を呼びしあの声を 求めて尽きぬ 我が想い
憧れと戸惑いの詩文を呟けば 想いの訳が知識ではわからぬ苛立も 甘く切ない心地の不思議さよ |
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