(2)「事件だよ。ひと月に及ぶ安穏と沈滞の後、車輪はいま一度回り始めたってことだよ」(ホームズ)
(3)「われらが新しい料理女の腕を揮った固ゆで卵２個、きみがそっくりたいらげたら、話をすることにしよう。
この卵のゆで具合と来たら、どうやら昨日玄関のテーブルの上に見かけた『ファミリー・ヘラルド』誌に関係
があるようだよ」(ホームズ)
(4)クラリッジズ・ホテル。10月3日。拝啓。シャーロック・ホームズ様（略）明朝11時におうかがい致し（略）
お話し致す存念です。（略） （ギブソンの手紙）
(5)ビリーが戸をあけたが、彼がとりついだ名前はわれわれの待ち人の名ではなかった。
(6)「地元警察はお手柄は(警視庁に）持っていかれますし、失敗したらお目玉ですものね。その点あなた(ホームズ）
は公正な方だとうかがっておりますので」(地元警察のコヴェントリー巡査部長)
(7)手続き未了ということでわれわれはその夜は余儀なくウインチェスターで一泊したが、翌朝には（略）問題の女性
とその独房で会見することが許された。（略）周囲に絶えず善き感化を及ぼす生得の高貴な性格の持ち主なのだと
感じられてくるのであった。彼女はブルネット女で背が高く、上品な体つきで物腰も堂々としていた。
(8)その夜おそく、村の宿で（略）一件の顛末をホームズがざっとおさらいしてみてくれたのであった。
(9)「このソア橋事件をきみの年代学に加えてくれたって、それでぼくの名声に箔がつくというわけにはいかないだろう
ね。（略）どうしてもっと早く真相解明に至れなかったと自分が自分で情けないくらいだ」(ホームズ）
