1887年9月末、大嵐の夜ワトスンは妻が出かけているのでベイカー街にいました。ここに現れたのが南西部ホーシャムから来た依頼人のジョン・オープンショー青年です。オープンショー青年は子供の頃から伯父イライアスと住んでいましたが、伯父は若い頃にアメリカに渡り南北戦争(1861年〜1865年)の時は南軍側で戦い大佐になり、戦争が終わった数年後に英国に戻って来てホーシャムで暮らすようになったのです。伯父が戻って来た理由は黒人に市民権を与えた共和党の政策に反発したからでした。１２歳で伯父と暮らすようになったオープンショー青年は家のきりもりをしていましたが、伯父は時々ブランディーを飲みはしましたが、それなりに可愛がってくれていました。その生活が変わったのは　

　話が終ったオープンショー青年にホームズはとても危険な状態なので、家に戻ったら残っている「書類を日時計の上」に置くこと、今は謎を解いて悪人たちを罰するのは考えないことアドバイスをして、ホームズは明日からすぐに調査をすると言うと、オープンショー青年はウォータールー駅からホーシャムの自宅に戻ると言って９時前にベイカー街を出ました。
　 そのあと、ホームズはオープンショー青年はとても危険な状況にあると「アメリカ百科事典」を使ってワトスンに説明をするのでした。その説明とは、封筒に書かれていたＫ・Ｋ・Ｋとはライフル銃の撃鉄を起す音「Ku Klux Klan」にちなんだ名前で南北戦争後に南部諸州の元軍人たちがつくった秘密結社、活動は「黒人の政治参加に反対、政治的に意見が対立人物を殺害か国外追放」という過激な活動をしていたが、１８６９年に突然活動を停止した。Ｋ・Ｋ・Ｋが暴力行為をはたらく時は相手に「カシの小枝、メロンやオレンジの種」を送りつけて警告をすることがある。また、警告を受けた相手は予期せぬ奇怪な死に方をする、という恐ろしいものでした。
　しかし、翌朝の朝刊には「ウォータールー橋付近の惨劇」と言う見出しで「ホーシャム近くに住むジョン・オープンショーという青年がウォータールー駅発の最終列車に乗ろうと急いでいくうちに暗闇で道をまちがえ、河蒸気船の狭い船着き場から転落して死亡」というものでした。
　ホームズにもオープンショー青年がウォータールー駅に向かう道ではないエンバンクメント通りにおびき寄せられ船着き場から転落させられたのか判りませんが、犯人たちの目星はたっているので、行動を開始したのです。
　ホームズは夜遅く戻って来たのですが、朝食のあと何も食べずに調べものをしていたので、かなりの空腹のようで部屋にあったパンと水で飢えを凌ぐとワトスンに説明をするのでした。
　 ホームズはロイズ船級協会の登録簿や古い新聞のファイルを調べて犯人たちが乗っている船の名前が「バルク型帆船ローン・スター号」と判りましたが既にアメリカのサヴァナ港への帰国の途についていました。それで、ホームズはオレンジの種五つを入れて「J・Ｏの代理S・Ｈ」と書いた封筒をローン・スター号の船長宛に送ったのです。
　しかし、その年の秋の嵐は激しく長く続き、大西洋のはるかかなたで 「L.S」と刻まれた船尾材の破片が見つかった以外に「ローン・スター号」の運命は永久に判らないことになったのです。