| 1902年 | 6月 三人ガリデブ |
| 9月3日 有名な依頼人 | |
| 晩秋 スリー・ゲイブルス |
の6月末」そして(8)の「殺し屋エバンズは1901年に釈放された」と言う記述から、「三人ガリデブ」
は1902年6月末に起きたことが判ります。この事件では夢が破れたことで立ち直ることが出来なかっ
たネイサン・ガリデブ氏には申し訳ないのですが、銃で撃たれたワトスンを気づかうホームズの言葉、
そして心配するホームズの言葉と姿を見たワトスンの感激、、二人を愛する私たちにとっては何度読み
返しても感激が沸き上がるところなのです。でも先ほどの1903年の1月つまり三人ガリデブ事件の半
年後に発生した「白面の兵士」での「私はひとりぼっちだった」と言うホームズの嘆きはどういうこと
なんでしょうか、半年の間に何かが起きたと思いますが後ほどお話しするとして、その前に「有名な依
頼人」についてお話しします。この事件も本文の(1)に1902年9月3日と書かれているので、簡単に
発生日の確定が出来ますし二人の間も良好です。
ただ、(2)に「その当時私はクイーン・アン街に居を構えていた」と書かれていいるのです。ワトスン
はどうしてベーカー街を出たのでしょうか？
まずは、ワトスンが居を構えていたと言う「クイーン・アン街」とはどこにあるか調べてみましょう。
地図をご覧下さい。現在は「ドーセット街」の上の方もベイカー街ですが、ホームズとワトスンが活躍した
当時は今より短く「ドーセット街」の交差点からポートマン・スクウェアまでしかなかったのです。
ホームズの住むベイカー街とワトスンの住むクイーン・アン街の距離ですが最短距離で400メートル、最長で
も600メートルだそうです。実際に歩かれた高田寛さんのお話しでは最短で5分ほどで、最長の距離だとして
も10分ほど歩くと着くそうです。
距離的に近くに住んでいるホームズとワトスン、それなのに引っ越しをして半年もたたないのに二人の関
係に変化が現われたのを皆さんもお気づきだと思います。今までの説ではワトスンのクイーン・アン街への
転居は結婚を前提または病気のなおったメアリーとの同居が目的だと言われてます。
でも、もし最初から女性との同居が判っていたらホームズが「白面の兵士」の中で「私はひとりぼっちだった」
だなんて言わないと思うのです。ホームズにとってワトスンがクイーン・アン街に転居することは納得できて
も、その後の結婚に衝撃を受けたのではと私は推測しました。
では、最後に残った「スリー・ゲイブルス」事件の発生日についてお話ししたいと思います。本文から、
(6)で指紋のことが出てくるので先ほど「赤い輪」事件でお話ししたように「スリー・ゲイブルス」事件は
1901年以前ではない、そしてワトスンはベイカー街には住んでいませんがホームズとの関係は親密である
ことがわかるので、1903年に発生した「白面の兵士」事件以前であること、ベイカー街に住んでいた「三
人ガリデブ」のあと、つまり1902年6月から12月までの事件だと思われます。もっと日にちを絞ると
「メアリー・メイバリー」の息子ダグラスがローマで肺炎で亡くなっているのですが真夏に肺炎
になる、と言うより初秋のローマの冷たい雨にうたれて肺炎になったと私は考えます。
「スリー・ゲイブルス」事件はその後ですので月までは決めれませんが晩秋だと私は思います。
