|
19世紀末の自転車について(一人きりの自転車乗り）
by みっちょん
|
|
世界最古の自転車は1818年にドイツ人が発明した「ドライジーネ型」と言われているものですがこれはすべて
木製で、ペダルがなく木馬のようにまたがり足で地面を蹴って走らせていたそうです。(A.B.C)
19世紀中頃にフランスで考案されたペダルで車輪を回す自転車が人気を呼び、いろいろな形の自転車(D)も発明
されました。そして装飾品のデザイン(E)にも自転車は用いられたのです。
|
Aの名称 Duke of Marlborough's Dandy-Horse
Bの名称 Johnson's Dandy-Horse
C スピードを出した時の様子
D 自転車を楽しむコナン・ドイル夫妻
E 銀製のブローチの広告
|
|
1875年に英国で「セーフティ型」自転車が発表されました。これは現在の自転車の原型となったもので同年に発売されヒットしたセーフティ型の「ローバー」号の後継機種が前後輪同一サイズ、後輪チェーン駆動方式を採用、1888年にはダンロップが空気タイヤを発明して特許をとり生産が始まるとこの快適な自転車によってサイクリングが大ブームとなり→の画像で判るように王族までに自転車人気が広まっていたようです。
(ファイフ公爵夫人はエドワード七世の長女、ヴィクトリア女王には孫になります)
参考文献
The Harmsworth London Magazine 1899年7月号
|
ファイフ公爵夫妻
|
公爵夫人の自転車が今日で言うスタッガート型フレーム(パイプがサドルの直下ではなくてペダルのついている辺りに下がっている。女性用。最初にこの型が発売されたのは1895年頃)↑のブローチも女性用のスタッガート型フレームです。
「ぶな屋敷」の依頼人である家庭教師ハンター嬢が元の雇い主から貰っていたのは月4ポンドの給料でした。「一人きりの自転車乗り」のスミス嬢は年収100ポンドと言う破格の給料だったので一台が「12ポンド12シリング」と言う高価な自転車が購入出来たのだと思います。
自転車の金額がどのくらい高価だったかを「1901年6月22日〜28日 家計簿 鉄道会社勤務」と比較してみてください。この家庭では週給2ポンド4シリング7.5ペンス＋下宿代で住宅ローンを支払い夏になると親子４人で7日から10日間、避暑に出かけています。
|
(ストランドマガジン1902年4月号掲載広告） 
|
公爵の自転車はダイヤモンド型フレーム(ハンドルの付け根からサドルの下にパイプが通っている)
|
(ストランドマガジン1902年4月号掲載広告）
|
グラナダ版ホームズシリーズ「美しき自転車乗り」の中でバイオレット・スミス嬢は家庭教師をしているチルタン農場と最寄りの駅であるファーナム駅の六マイル(約9.6キロ)を自転車で往復している以外にベイカー街221bにも自転車で来ていますがこれは当時も現在も自転車を列車(電車）に持ち込めたからです。
右の写真は2004年8月1日キュー・ガーデンズ駅構内にて撮影。
(現代でも女性はスタッガート型フレーム・・・・）
|
キュー・ガーデンズ駅構内にて(撮影みっちょん）
|
